最近、ニュースやSNSで「ファーストジェントルマン」という言葉を目にする機会が増えてきました。
でも実際には、「どんな意味?」「ファーストレディの男性版って本当?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
この言葉は、女性の首相や大統領の夫を表す新しい敬称として、海外で徐々に浸透しつつあります。
とはいえ、日本ではまだ前例がないため、あまり馴染みがないのが現状です。
そこで本記事では、「ファーストジェントルマン」という言葉の意味や起源、実際の役割、各国での呼び方の違いなどを丁寧に解説。
【この記事でわかること】
- 「ファーストジェントルマン」の定義と使われ方
- ファーストレディとの違いや「男性版」と呼ばれる理由
- 実際に使われている国や人物の事例
- 日本における呼称の現状と今後の課題
- ジェンダー平等に基づく中立的な呼び方の可能性
ファーストジェントルマンとは?
「ファーストジェントルマン(First Gentleman)」とは、女性の国家元首や政府首脳の配偶者である男性を指す呼称です。
ファーストジェントルマンの基本定義とは
英語圏では「ファーストレディ(First Lady)」の対となる表現で、「国家の第一の紳士」といった意味合いを持ちます。
一般的に、大統領や首相の配偶者がこの肩書きで呼ばれることが多いですが、あくまで非公式な敬称であり、法律的な役職ではありません。
また、国や文化によってはこの言葉を使わない場合もあり、使い方には地域差があるのも特徴です。
どのような立場・存在として扱われる?
ファーストジェントルマンは、配偶者としての立場から、国家の象徴的な存在と見なされることが多いです。
特に以下のような場面で、存在感を発揮することがあります。
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式典やレセプションなどの公式行事への出席
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社会貢献活動やチャリティイベントの支援
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国際的な外交の場での“ソフトパワー”としての役割
ただし、どこまで活動するかはあくまで個人と国の慣習によるもので、明確な義務があるわけではありません。
そのため、表に出ることを好むタイプの人もいれば、裏方に徹するスタイルの人もいて、まさにケースバイケースなんですね。
ファーストレディの男性版という意味
こちらでは、「ファーストレディ」との違いや、「男性版」とされる理由について見ていきましょう。
ファーストレディとファーストジェントルマンの違い
「ファーストレディ(First Lady)」は、国家元首や首相の女性配偶者を指す敬称で、世界中で比較的広く使われています。
この言葉には、歴史的・文化的な積み重ねがあり、伝統的に「公的な場でのサポート役」や「慈善活動に積極的な存在」として知られています。
一方、「ファーストジェントルマン(First Gentleman)」は、それに対応する男性版の呼び方です。
ただし登場する場面がまだ限られているため、認知度や定着度は「ファーストレディ」に比べてやや低め。
呼称以外にも、社会的に期待される「役割」や「ふるまい方」に違いが出る場合もあり、
性別によって求められる“配偶者像”が異なるというジェンダー的な視点も関わってくるんですね。
なぜ「男性版」という表現になるのか?
「ファーストジェントルマン」という言葉は、明確に「ファーストレディ」の対義語的な位置づけとして登場しました。
これは、長らく男性が国家指導者の中心にいたことで、「ファーストレディ」が先に社会に浸透していたからです。
そのため、女性リーダーが登場したとき、「その配偶者(男性)をどう呼ぶか?」という課題が生まれ、「男性版のファーストレディ=ファーストジェントルマン」という考え方が広がっていったんです。
ただし、「男性だからジェントルマンと呼ぶ」こと自体が性別を前提にした表現であり、近年ではその在り方にも議論が出てきています。
中には、「性別にとらわれない中立的な呼称が必要では?」という意見も増えてきているんですね。
ファーストジェントルマンの役割とは?
こちらでは、公式な場と非公式な場、それぞれで求められる活動についてご紹介します。
公式な場での役割(式典・外交など)
ファーストジェントルマンは、国家元首や首相の配偶者として、公式行事への出席が求められることがあります。
これは「国を代表する人物の伴侶」としての立場から、外交的な場面でも“顔”となる役割を担うことになるためです。
具体的には以下のような活動があります。
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国賓との晩餐会への同席
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国際会議や首脳会談の同伴参加
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式典や記念行事への出席
ただし、こうした役割は法的に義務づけられているわけではなく、
その国の慣習や配偶者本人の意思によって決まるケースがほとんどです。
また、メディアの注目も集まりやすいため、発言や行動には高い品格や政治的中立性が求められることも多いです。
非公式な場での活動(チャリティ・社会貢献など)
一方で、ファーストジェントルマンが注目されるのは、公式行事だけではありません。
むしろ多くの場合、非公式な活動=チャリティや社会活動がその存在価値として見られています。
たとえば、
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医療・福祉・教育などへの支援活動
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被災地訪問や地域ボランティア活動
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環境問題や人権問題への啓発運動
これらは強制ではないものの、「影響力のある立場」だからこそできる貢献とされ、
国民からの信頼や共感を得る大きなきっかけにもなります。
また、配偶者の活動によっては、本人の知名度や人気が高まり、“もう一人のリーダー”的な存在として認識されることもあるんですね。
ファーストジェントルマンの呼び方は?
こちらでは、各国での呼び方の違いや、呼称にルールがあるのかを見ていきます。
各国での呼び方の違い(例:アメリカ・フィンランドなど)
まずアメリカでは、副大統領カマラ・ハリスさんの夫、ダグ・エムホフさんが「セカンド・ジェントルマン(Second Gentleman)」と呼ばれたことで、「〇〇ジェントルマン」という呼称が広まりました。
ただし、現時点で大統領の配偶者が男性になった例はなく、「ファーストジェントルマン」という称号が実際に使われるのは今後かもしれません。
一方、フィンランドのように女性首相が実際に存在する国では、配偶者に特別な呼び名が与えられないケースも多いです。
例えば、前首相サンナ・マリンさんの夫マルクス・ライッコネンさんは、あくまで「配偶者」として扱われ、公式な場に出ることも少なく、特定の呼称も使われていませんでした。
他にも、
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ドイツ:アンゲラ・メルケル元首相の夫は、表立った呼称は使われていなかった
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ニュージーランド:女性首相の配偶者は「パートナー」として紹介されることが多い
このように、「ファーストジェントルマン」が使われるかどうかは国によってバラバラで、定着度にも差があります。
呼称に統一ルールはあるのか?
実は、「ファーストジェントルマン」や「ファーストレディ」といった呼称に、国際的に統一されたルールは存在しません。
これは、各国が自国の文化・慣習・政治制度に基づいて配偶者の扱いを決めているためです。
中には、まったく呼称を使わず、単に「首相の配偶者」「夫/妻」と呼ぶだけの国もあります。
また、こうした呼称が公式職ではないことから、「名誉的な呼び名」でしかなく、使用も自由というのが現実です。
そのため、呼び方が変わったり、まったく使われなかったりすることは珍しくありません。
この柔軟さが、逆に混乱を招くこともあるので、将来的により中立的で共通した呼称が求められる可能性もありそうですね。
日本での呼び方は?女性首相の夫の場合
現在の日本では、女性首相がまだ誕生していないため、「首相の夫」という立場は前例がありません。
こちらでは、日本語での表現や、今後の呼称の可能性について掘り下げていきます。
首相の夫は日本語でどう表現される?
現時点で日本には、「首相の夫」に対する公式な呼称や肩書きは存在していません。
たとえば「内閣総理大臣夫」や「総理配偶者」などと表現する例も一部にはありますが、一般的に定着しているとは言えません。
伝統的に「ファーストレディ」や「首相夫人」という表現がメディアや公式行事で使われてきたことから、
仮に女性首相が誕生した場合、「首相の夫をどう呼ぶか?」は新たな議論となるでしょう。
また、漢字文化圏では「第一夫人(ファーストレディ)」という言葉に対する「第一紳士(ファーストジェントルマン)」という表現も使えそうですが、現実にはほとんど聞かれません。
日本語として自然な表現にするには、
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「首相の配偶者」
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「首相の夫」
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「総理の伴侶」
といった、やや説明的な形になりやすく、定着には時間がかかる可能性があります。
日本における今後の呼称の可能性と課題
日本で女性首相が誕生した際に、「ファーストジェントルマン」という言葉をそのまま使うかは、メディアや国民の反応に大きく左右されるでしょう。
ただし、日本語では「レディ」「ジェントルマン」といった英語の性別表現がそのまま持ち込まれることに違和感を覚える人も多く、
それに代わる中立的でわかりやすい日本語表現が求められるかもしれません。
一方で、「呼称があること自体が性別役割を強調するのでは?」という懸念もあります。
そのため、ジェンダー平等の視点から、呼び方の必要性そのものを問い直す動きが出てくる可能性もあるでしょう。
今後の政治と社会の変化に伴って、「首相の配偶者」の呼称問題は、新しい日本語表現のあり方を考えるきっかけになるかもしれませんね。
ファーストジェントルマンという言葉に込められたジェンダー的意味
こちらでは、言葉に含まれる性別前提と、その代替となる中立的な表現について考えていきましょう。
「レディ」「ジェントルマン」にある性別前提の問題
「ファーストレディ」は女性、「ファーストジェントルマン」は男性と、それぞれ性別に明確に紐づく表現です。
これに対し、「なぜ性別を強調する必要があるのか?」「なぜ“男性だからジェントルマン”と呼ばれるのか?」といった疑問が生まれるのは当然のことです。
特に、現代社会では性別にとらわれない多様な生き方や家族のあり方が認められるようになってきており、
このような表現が時代に合っていないのでは?という声も聞かれるようになりました。
また、「レディ(lady)」という表現がもつ“品位”や“理想的女性像”といったニュアンスも、女性に特定の振る舞いや期待を押し付けているように感じる人もいます。
そのため、これらの言葉が持つ背景をただ使うのではなく、その意味や影響を意識することが求められているのです。
ファーストスパウスなど中立的呼称の可能性
こうした問題を受けて、近年では「ファーストスパウス(First Spouse)」という言葉が注目されつつあります。
「spouse」は「配偶者」という意味で、性別を問わない表現です。
実際、英語圏の一部では性別に配慮した表現としてこの「First Spouse」が提案されており、将来的には「ファーストレディ」「ファーストジェントルマン」に代わる言葉として使われる可能性もあります。
また、ドイツなどではそもそもこうした称号を用いず、「首相の配偶者」といった機能的な表現にとどめているケースもあります。
今後の社会では、性別による区別を減らし、より公平で中立的な呼び方が求められる流れが進んでいくかもしれません。
こうした言葉の選び方ひとつにも、社会の価値観が表れているんですね。
まとめ
ここまでファーストジェントルマンとは?ファーストレディの男性版の意味・役割・呼び方も解説をお送りいたしました。
本記事の要点まとめ
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「ファーストジェントルマン」とは、女性の国家元首や首相の男性配偶者を指す非公式な呼称
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「ファーストレディ」の男性版という意味で使われるが、定着度は国によって異なる
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公式・非公式な場で、外交や社会活動などの象徴的な役割を担う場合がある
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日本にはまだ明確な呼び方がなく、今後の議論と新しい言葉の登場が期待される
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性別を前提にしない「ファーストスパウス」など中立的な表現も注目され始めている
ジェンダー平等が重視される時代において、「呼び方」ひとつにも大きな意味があることがわかりました。
ファーストジェントルマンという言葉は、ただの敬称ではなく、政治・文化・社会の在り方を映す鏡でもあります。
今後、日本で女性首相が誕生した際には、その夫の呼称がどう扱われるかが注目され同時に、「言葉の持つ力」を意識しながら、性別を問わない多様な選択肢を広げていくことも求められそうですね。

